アメリカ国内を車で旅をする際に、州を越える時のワクワク感は何度経験しても堪らない。インターステート(フリーウェイ)でなく、それが一般道なら猶更だ。
つまりそれがルート66なら猶更の二乗なのである。

ルート66は全部で8州にまたがってシカゴ~サンタモニカ間を繋いでいる。そう、だから州越えは7回経験できるわけだが、どうもこのオクラホマ州からテキサス州へ抜ける際が個人的には一際、印象的なのだ。

何か特別なことがあるわけではない。”Texas State Line”の看板が一本立っているだけの極めて「普通な」境界線だ。いや「線」と書いたが、線があるわけでもない。言わば何の印も線もないのだ。
全米で二番目に大きいテキサス州。パンハンドルと呼ばれる北の一部を通るだけのは確かだが、そのテキサスに入るにあたって標識一つ、なわけだ。
もしよそ見をしていたら完全に見過ごす。景色自体が変わらないため、いつオクラホマ州を出てテキサス州に入ったかなんて普通は分からない。

だから、だから気になるのだ。逆に印象的で、好きなのだ。

昔、日本のTV局がタレントを起用してルート66を走る特番を作った。そのタレントさんはこの州をまたぐにあたって、無い線の上をあたかも境界線があるかのように(局のシナリオで)ジャンプさせられていた。もう少し気の利いた絵柄が取れなかったんだろうかと未だにここに来ると思いだす。

何もない州境。今回は20分ほど佇んでみたが、自分以外通った車両はなかった。
明日はどうなんだろうか。