一日の走行距離が380マイル(約600キロ)、は然程大変ではない。せいぜい数時間走れば着くものである。が、各所で再会を祝い、四方山話に花を咲かせながら走るとなると結構時間との戦いに陥るケースも少なくない。
2016年8月に掲載したお話、「ウサギの王国、ヘンリーラビット」に登場するご主人、リッチ・ヘンリー氏にテキストメッセージを送ったのが渡米する2週間ほど前だったか。
「やあリッチ、元気かい?9月の下旬にイリノイ州に行く予定なんだが、お店はまだやっているかい?9月はもうシーズンオフだ、何時に閉めるの?」
昨年リッチは一度体調不調を理由に一旦は引退?に近いようなことを口走ったことがあったのでこのように聞いてみた。
すると体調は順調なようで相変わらず頑張ってお店を開け旅行者のお相手をしてくれているとのことなので、日付と時間とが決まったらまた連絡する旨を伝えておいた。

当日ミッドウェイ空港を出発した私は、いろいろ思い描いていた計画と少々違う事案に遭遇しながら、南下した。先のメイプルシロップのお店で時間を過ごし過ぎのこともあり、リッチには(約束していた)夕方4時に着くのは難しいことを伝えたら、「トシ、俺は今日ミーティングがあってリッチフィールドに来てるんだ、だからスタウントン(彼のお店の場所)には居ないよ、アリストン・カフェまで来れないか。」と。
後から聞いたら急に決まったそうなのだが、「おいおいそれじゃあ先に言えよ」と再度狂ったスケジュールを呪った(笑)。

だが良く考えると実はそれはかなりの好都合だということに気付く。アリストン・カフェは、今年の6月に掲載した「Ariston Cafe 90余年の歴史」に登場する、デミとニックのアダム夫妻が先日リタイヤし、売却されたルート66の名物レストランだ。今回は時間の都合上訪問する予定はなかったのだが、そこにリッチが居るのであれば(アダム夫妻には会えなくとも)レストランを訪問することが可能となる!

というわけで午後5時半過ぎに何とか到着。いつもの如く素敵なレストランだ。


店に入り、イリノイ州ルート66のミーティングの旨を伝えると、それ用に用意された個室に通される。
「ハロー、リッチ!」
何年か振りの再開に思わず笑顔が更に崩れる。
ミーティング開始時間は6時だと言うが、当然?皆さん揃わない(笑)
結局始まる6時45分あたりまでリッチを含め何人かの出席メンバーと近況報告をしながら旧交を温める時間が取れた。


さらにはタイミングよく、新しいオーナーの一人、Will Law 氏とも挨拶をすることが出来た。デミから私のことは聞いてくれており、いつか会えると思っていたがこんなに早く会えるとは!と喜んでくれる。このあたりの調子の良さは生粋のアメリカ人だ。


次はゆっくり来ることを約束し、今晩の目的地である隣接州ミズーリ州のキューバまでお持たせをしてくれたサンドイッチを頬張りながら、すっかり夕方になったルートに飛び出た。あー寒っ!