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デニスとの初対面時

「あ、デニスに会おう。会わなきゃ。」
JRの宣伝ではないが、今回の旅の計画を立ててる時にふと、そう思った。

デニスはテキサス州エイドリアンという街でルート66の「中間点」ミッドポイントカフェを経営する友人だ。つい最近他の友人を通じて、彼が健康上の理由で店を売却する予定であることを知った。そうするかもしれないとは聞いていたものの、やっぱり残念。でも健康が一番だから彼の決断は100%尊重するけど。

Midpoint Cafe

「ミッドポイントカフェ」は、シカゴからもサンタモニカからも1139マイル、まさにルート66の中間地点。その真偽はさておき(笑)ほとんど街らしい建物もない農場の広がる大地に真ん中に建っている。(カフェは映画「CARS」のV-8 Cafe のモデルにもなったんだよ)お店自体は1928年創業。多数のオーナーの変遷を経て、1990年に「Adrian Cafe」という名前で前オーナーの Fran Hauser 女史がオーナーになった。私が初めて訪れたのも彼女がオーナーになってから。今の「ミッドポイントカフェ」という名前になったのは1995年。作家であり、ルート66アソシエーション創設者である Tom Snyder 氏の「折角ルート66の中間地点にあるんだから、もっとアピール度の高い名前に変えよう」という提案でその名前になったと聞いた。

デニスと彼の奥様、ドナがオーナーになったのは2012年。それから今日まで4年、デニス夫妻の功績は決して小さくない。ミッドポイントカフェの看板の位置を下げ、訪れるお客さんたちが記念撮影をしやすいようカメラ台を造った。アメリカ、ルート66、そしてテキサスの旗も建て、より雰囲気を盛り上げることも思いついた。お店の中ではお土産コーナーを拡大、内容を充実させ、大きな売上に繋がっているという。

adrian

元々ここのカフェの名物はパイ。デニス曰く、オーナーになった時はパイなんかそれまで焼いたことも無かったそうだ。それから練習に修行に、今では年間700~800ほど焼くらしい。人はその気になればやれる、ということだ(笑)

そんなデニスが健康上の理由でお店の売却を考えているという。条件はルート66が大好きで、自分と同じ情熱を持ってルート66に貢献してくれる人、らしい。

「会いたいけど今回エイドリアンまで行く時間がとれるかどうか」と相談したら、お店が終わってからニューメキシコまで来てくれるとの事。
かくして州境のグレンリオという街にある Russell’s Track Center というトラックドライバーさんの憩いの場にあるレストランで再開。お互いの近況、彼の健康の話から売却の件まで、沢山ゆっくり話ができた。

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気がついたら外は真っ暗。今晩泊まる ブルースワローモーテルのミュラー夫妻が「あいつはまだか?」と気を揉んでいる姿が想像できる。早く行かなきゃ。

「トシ、お前やるか?」会話の中身を思い出しながら、暗闇の向こうに延びる40号線を飛ばした。冗談にせよ、候補に挙げてくれるだけでも嬉しいものだ。