皆さんは Jason Botts という野球選手をご存知だろうか。1980年生まれ、カリフォルニア州パソ・ロブレス出身の強打のスラッガーだ。彼を最初に見たのはジョージア州サヴァンナを旅行していた2001年、たまたま通った時にやっていたマイナーリーグの試合を観戦した時のことだ。彼の打順が回ってくるとスタンドは一斉に大きな応援になり、ファンの期待の大きさを一瞬で感じた。何となく「華」のあったその選手が頭の片隅にその後残っていた私は、彼が2005年にメジャー昇格し、テキサス・レンジャースでデビューした時はまるで親戚の叔父さんのように喜んだものだ。
それまで実はマイナーリーグの野球を見たことは一度もなかったのだが、そのサヴァンナの一件以来、機会があれば注目するようになった。なぜかと言えば「心地良い」から。メジャーリーグとは全く違う雰囲気。もちろん粗削りで成長過程の選手ばかりだけど、いつか大きなフィールドで大勢のファンの前でプレイすることを夢見る若い選手たちは本当に躍動感に溢れていた。スタンドに足を運ぶファンもどことなく家族のような雰囲気を漂わせ、時には選手をからかいながら応援に熱を注ぐ。使い古された表現かもしれないけど “American Pastime” を肌で感じたのはこの時が最初だった。あの時感じた心地良さは今でもはっきり憶えている。
さて今日の話題は Jason ではなく、あくまでもルート66。ルート66と密接に関係する野球のお話。
シカゴからサンタモニカまでの長い道、その街道沿いの街々には数多くのメジャー球団、マイナー球団が存在する。2015年、ミズーリ州ジョプリンの街に新しいチームがやってきた。アメリカ独立リーグ AA に所属する「 ジョプリン・ブラスターズ」だ。
ロゴがダサいとか言わないように。鉱業で発展した街ならではのデザインだ(笑)
8州に渡るルート66の中で、ミズーリ州は私は大好きな州の一つ、取り分けジョプリンとその近隣カ―セイジという街は飛び切りのお薦めだ。そんなジョプリンに野球チームが来たのだから嬉しくないはずがない。
マイナーリーグはメジャーリーグより試合数が少ないのでシーズン期間は当然短い。2015年、2016年と、ちょうどジョプリンに行く機会があった時はいずれもシーズンオフ、またはアウェイ試合の時だった。
マイナーチームの多くはスタジアムに比較的簡単に入れる。観戦じゃないよ、グラウンドに、ってこと。一応柵はあるものの、ぐるっと回れば柵のない場所もチラホラあり「どうぞご自由に」的な雰囲気を勝手に感じてはチャンスがあればグラウンドを歩き回ったり、ベンチに座って眺めてみたりする。
とは言え、不法侵入でポリスを呼ばれても困るので、一応スタンドの横にある小さな簡易事務所のおばちゃんに挨拶して「入っていい?」と聞く。
試合のない時にわざわざ来る奴なんて滅多にいないのだろう、「ああ、好きにしな」と、笑顔で歓迎してくれる。
外野のフィールドを歩き、ラインに沿ってホームベースへ、そのままベンチに下がってみて、ベンチから見る試合を想像してみる。「フィールド・オブ・ドリームス」の世界そのものだ。あー楽しい。
そしてベンチ横の通用口からスタンドに移りフィールド全体をパシャリ。
「2017年ジョプリン・ブラスターズはプレイしない。」地元メディアにそう載ったのは昨年の秋。1年目は55勝45敗、2年目は36勝64敗と大幅に勝ち星を減らし、財政困窮に陥った挙句、球団と街との関係が良くなかったのが原因ということだ。
そう、こんなに楽しみにし、ジャージもホーム、アウェイと両方用意し、いつの日か応援に行ける機会を楽しみにしていた夢は儚く散ったのだ!
私は実は一度もブラスターズの試合を見ていない。三度もスタジアムに行ってるのに。。。人生そんなものだよね、と言うには悲し過ぎると思わない?(笑)
あ、そうそう、冒頭に紹介した Jason、2008年~2009年日本の日ハムでプレイしたらしい。流石にそこは知らなかったなぁ。
YouTube でこんな映像を見つけたので最後にご紹介。
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