昨日金曜日のこと。アリゾナ、ニューメキシコ、コロラド、ユタの地域をカバーする新聞メディア「The Journal」は、ニューメキシコ州最大の街、アルバカーキの高齢者施設で18人もの COVID-19 感染者が発生した事実を報道した。州全体ではこれで500人を超えた数字となる。

同州で最初の感染者が検出されたのが3月中旬。それから直ぐに州知事である Michelle Lujan Grisham 女史は予防措置として、終末期ホスピスケアを除き、生活支援施設への公共アクセスを一時停止した。報道によればその措置は Grisham女史自身も彼女のお母様へ会いに行くこともできないことを意味していたという。

今更改めて言うことでもないけど、ほとんどの人にとってコロナウイルスは発熱や咳などの軽度から中程度の症状を患うことが主で、2〜3週間で解消すると言われているが、一部の人々、特に高齢者や既存の健康問題のある人々にとっては肺炎や死を含む、より深刻な病気を引き起こす症例が後を絶たない。とはいえ、まだウィルスの全容が解っていないため、いずれの場合も細心の注意で臨むことが重要だ。

そんな中、ニューメキシコ州西部に位置する Gallup の街のシンボルでもある、El Rancho Hotel は医療従事者が必要とする場合、 COVID-19 に感染した重い患者さんのために、ホテルの一部スペースの使用を許可したのだ。が、当面は感染被疑者がコロナウイルスの検査を受けている間、自己隔離する場所としての使用が主になる模様。
もちろんホテルとしてのビジネスは続ける必要があるため、駐車場を隔てた別棟を提供することになるものの、これは同業者の立場からすると非常に難しい、が素晴らしい英断だ。

このプログラムは、Rehoboth McKinley Christian Health Care Services、Gallup Indian Medical Center、Community Outreach and Patient Empowerment 等の専門非営利組織の後援を受けており、ホテル側曰く、提供した場所は、使用語は米国疾病管理予防センター(CDC) による厳しいガイドラインに基づいて部屋が掃除されるとことだ。

El Rancho Hotel は、20世紀初頭に “The Birth of a Nation” や、”The Musketeers of Pig Alley” でアカデミー賞受賞経歴のある著名な映画監督 D.W. Griffith 氏の兄弟である、R.E. Griffith 氏によって 1937年にオープン。兄弟は映画製作者に Gallup エリアでの撮影を奨励し、ホテルは John Wayne、Ronald Reagan、Katherine Hepburn、Kirk Douglas、そしてSpencer Tracey、Gregory Peck や Humphrey Bogart 等、当時のきらめく映画スターたちが宿泊したことで有名。その当時の写真や小物はホテルの2階に堂々陳列されているのだ。

だがさすがの El Rancho も 1980年にフリーウェイI-40がルート66を迂回した際にはビジネス需要は急減、そして衰退の道をたどるのだが、捨てる神あれば拾う神あり、常にそのホテルの運営を夢見ていた Armando Ortega Sr. 氏によって解体の脅威にさらされたホテルは 1986年に50万ドル(現約5400 万円)で購入され、さらに同額を追加して修復したのと記録が残っている。
ホテルは1988年5月に再開、その年に国家歴史登録財に登録された。
Ortega Sr.氏は2014年に86歳で永眠している。

Coat of Arms – John Charles Webster

締めくくりは同州の大司教であられる Archbishop John Charles Webster 氏のお言葉で。
“In unity with all Christians, we call on the faithful to make home the holy place for the sake of all families during the COVID-19 pandemic. Stay home. By practicing social distancing, together we can save lives.”