5月、快晴の朝、ヘンダーソンを出て一気にアリゾナ州へ。今日の宿泊はキングマン、と既に決まっているので、まずはフーバーダムを越えてUS 93号線を南にキングマンまで走る。その後はキングマンからどこまで行けるのか、は着いた時間次第ってことになるが、本音を言えばウィンスローまでは行きたいと出発時点では思っていた。

ところで、いきなり話はルート66から逸れるが、この日給油をする際に停まったガスステーションの店舗内で面白いものを見たので紹介したい。

2022年、今年は私達米国市民にとっては重要な「中間選挙」というものが秋にある。中間選挙は、大統領選挙から 2年後に実施される議会選挙で、
4年毎の大統領選の中間年に行われるのでこのように呼ばれるものだ。
アメリカ議会は上院と下院の 2院制で、中間選挙では、下院の「全議席」と上院の 1/3 の議席が改選される。もう少し細かく説明をすれば、下院は各選挙区から議員 1人を選出する小選挙区制で、各州への議席の割当ては
10年ごとに実施される国勢調査によって決まり、一方上院議員は人口数に関係なく各州 2人と決まっており、州は全部で 50あるから定数は 100議席となる。選挙日は 11月最初の月曜日の翌日、「火曜日」と決まっており、今年は11月 8日となる。中間選挙は現職大統領と与党の過去 2年間の「政治に対する信任投票」、の意味合いが強く、有権者の支持具合が明確になるので 2年後の本番、大統領選の行方を見通す重要な選挙という位置づけだ。

ご存じのように現在の大統領は第 46代大統領、民主党の ジョー・ バイデン氏であるが、少しご高齢のため、再選にはクエスチョン・マークだ。民主党候補の後任は今の時点ではわからないが、多数の問題を抱えるトランプ前大統領は 2024年の再選に向けて虎視眈々とそのチャンスを狙っていると報道されている。

アリゾナ州は伝統的に共和党が強いが(すなわちトランプ氏所属の党)、近年民主党の勢力が徐々に高まっており「接戦」の繰り広げられる州となっている。が、やはり共和党は根強いのか、そのガスステーションにはこのような商品が並んでいた ↑ 😮

入口横のゲーム機が数台あるところにも、何と ZOLTARが 💦こんなものまで作ってしまうほどトランプ氏はまだまだ人気があるというわけだ。

因みに ZOLTAR とは、簡単に言えば「占いマシン」であり、コインを入れることで、その人の将来を予言したカードを出してくれる娯楽の一つ。ビデオ・アーケード(ゲームセンター)等でよく見かけるもので、たぶん皆さんの記憶の中で一番有名なものは、1988年に上映されたトム・ハンクス氏主演の映画「BIG」で登場したものではないだろうか。

A scene from the film “BIG” ©21st century fox

話を戻して 93号線を下ろう。「今回はあまり起こらないことが起こった」と、前のコラムで書いたが、昨日の今日で 2日連続で渋滞に巻き込まれた。私は比較的長距離運転をする方だが、天候や事故が原因による渋滞にあまり巻き込まれた覚えがない。だがしかし!今日はこれだ。砂嵐・・・

高速の脇はこんな感じ・・

結構前が見えなくなるぐらいの強烈な砂嵐に出くわしたので、上のような撮影ができるのはかなり収まってからなのであるが、多少は状況伝わるだろうか。10㍄程度でノロノロ運転しないとマジで怖い感じがして、そんな楽しくない時間が 2時間近く続いたんだよね・・・
で、予想通りこういう事故が起こる。そんなに時間がかかったのもこれが原因かと。

せっかく早く出て、今日はどこまで走れるかな?と期待していたワクワク感は一気に消沈してしまったよ 😰

そんなわけで、行ける距離がかなり短くなってしまったが、セリグマンは外せない。93号線からキングマンの街に降りず、そのまま一気に インターステート 40号線に入り、走ること約 1時間。セリグマンの看板がお出迎えだ。

この看板、結構人気がある。
ウエルカム・サインは街の東端、I-40 号線を降りてメインストリートに入って行くところにあるのだが、かなり凝ったデザイン?だよね。「歴史的ルート66の発祥地」と書かれていることで、いろんな議論も沸き起こることは否めないが、その主張は、セリグマンの街が I-40号線にバイパスされた後、エンジェルさんが中心となってセリグマンとルート66の普及に努めたことに基づくものだ。

ところで、今までセリグマン、何回来たかな?
I-40 号線の出口、121 と 123 と、ルート66を結ぶ、極めて小さいヒストリカルエリア内に、お恥ずかしながら今回「初モノ」に出会った 😰
今まで気づかなかったのはきっと新しくできたものだろう、と彼らのウェブサイトを確認すると何とビジネスは1993年から、と書かれているではないか。「BWEAR66AZ」という名の T-シャツ屋さんのようだ。グーグルマップ上でも「Worlds Largest Route 66 Sign」と、記載されているが、本当に世界最大の66の標識なのだろうか。まあ、話半分ということで・・・

さて、セリグマンもパンデミックを挟んでいるので3年以上来ていないが、自分の記録を見返すと、前回写真撮影をしたのは2017年となっている。そんなに長い間訪れてなかっただろうか?うーん・・・
でも街は変わらない。いつものセリグマンの中心通りが心を和ませてくれる。

ルート66が出来て96年。もちろん失われたものも沢山あるが、昔の姿を残していることはそうそうは変わらない。
そんな長く続く歴史遺産が、たかが数年で変わるわけもなく、皆元気な姿を見せてくれることに感謝の念は尽きない。

さてお目当てのエンジェルさんのお店だが、予想以上に街まで来るのに時間がかかってしまったため、エンジェルさんは日中のお休み時間に入ってしまったとのこと。
残念 😵‍💫とはいえ、95歳のご高齢。たかが私が訪問したぐらいでお店に来ていただくほど私は大した者ではないので、無理なお願いは遠慮する。砂塵と事故で時間がかかり会えなかったことは、ご縁がなかったことではなく、神様が再度セリグマンを訪問する機会をくれたということである。

ということで今回は久しぶりの再会を果たせて少しゆっくり話ができた、エンジェルさんの娘、Mirna (ミルナ)と記念ショット。

最近は The Women on the Mother Road にも登場し、精力的な活動をしている。パンデミックの間もただ座って終息を待つのではなく、その時にしか出来ないことに集中し、建物の壁の塗り替えから屋根の補修、そしてお店の中もきれいに改装してお客さんが来るときを想像して過ごしたそうだ。

そんな話をしていると何か外が騒がしい。
店の入り口から次から次へと人が入ってくるではないか!
JTBのツアーバスはもう来ないのに、と思って外へ出ると、何と欧州からのバイクツアーの面々だった。聞くとフランスだって。
まだまだ日本ではマスクする人が 100%近くいて中々パンデミックから抜け出せていない 5月に、マスクなぞどこ吹く風とばかりに誰一人とせず、集団でバイクツアーを楽しむ彼らとの間には大きな人生観の差があることを感じる。

さあ、では最後に変わらないセリグマンの街を一つ一つ確認しながら、先を急ぐことにしよう。

アリゾナ・ルート66小旅行(前編)了