
「Save the Gasconade River Bridge 最終章」として、ミズーリ州ヘイゼルグリーンにある、ガスコナーデ川橋の保存について最後に紹介したのがちょうどほぼ1年前、2020年2月2日のことだ。その際に触れたように、ミズーリ州ルート66協会の会長であるRich Dinkela氏(以下リッチ)は、当該橋の所有権を取得して保存するという提案を協会として州政府に伝えた。が、その後何とミズーリ州交通局はそれを却下した。理由は「保険」だ。
実は、ガスコナーデ川橋の下流にはさらに3つの橋が存在するが、ミズーリ州交通局はそれらを含めた「保険」を協会が担保することを要求した。が、そんな類の保険は現実には存在しない。
更にはその審査において、「協会側から橋のメンテナンス計画が提出されたことはない」とか、保存に必要な協会の資金調達計画は 一般的で漠然としているなどという「言い掛かり」に近いものだった。
このやり取りについて、リッチは「ちょっとした侮辱であり、顔を殴られたようなものだ」と、Route 66 News の取材にも語っている。協会側からすればとても交通局は誠意をもった対応をしていないというわけだ。

National Trust for Historic Preservation の副顧問である Betsy Merritt 氏も、公聴会において、ミズーリ州交通局の保険加入に関する要求根拠を「非常に懸念している」とし、協会のメンバーである弁護士の Phillip Denton 氏も同様、「文字通り実現不可能」であると批判した。そもそも交通局には橋を協会に寄贈する意図はなかったのではないか、と勘繰ることだってできる。
一方、もし橋が解体されることになる場合、ミズーリ州交通局はレバノン(街)と協力して、「ボスウェル・パーク・プロジェクト」を実現させる動きもある。そのプロジェクトとは、橋が取り壊されるのであれば、橋があった場所の東端と西端に歴史的なマーカーを設置することや、橋の歴史やポニートラスを見ることができるボスウェル公園を設置するという一連の動きだ。

現在ミズーリ州のルート66協会は、これら手続きの最終局面において、3月31日までに州および国の当局者に手紙を出して、ガスコナーデ川橋の取り壊しを中止するように説得するという呼びかけを行っている。そのリストには現行の州知事であるマイク・パーソン州知事をはじめ、ミズーリ州天然資源局、ミズーリ州歴史保存局、ミズーリ州経済開発局、ミズーリ州観光局、ルート66百周年記念法案のスポンサー、さらには米国運輸省や、アメリカ合衆国上院議員であるジム・インホーフ氏の名前まである。

リッチは個人的にもFacebookに、「Route 66 Gasconade Bridge – PLEASE REPAIR!!」という一般公開グループを作成して長い間闘ってきた。
私も2015年には実際の現地でのラリー運動に参加することができたし、微力ながらその活動をずっと支持しサポートしてきた。だから私もルート66アソシエーション日本を代表する立場として、上記の方々に一筆書き訴えたところだ。

同協会の秘書であるジュディ・ウォールマークはこう書いている。
「この象徴的な橋を救うために、彼らの介入をぜひ要請したい。この橋は、観光という私たちの経済にとって重要であり、私たちの歴史にとって重要であり、そしてあなたにとっても重要なのです。 私たちは5年以上も闘ってきました。皆さんの助けをお願いします。」
私もミズーリ州ルート66アソシエーションのメンバーであるが、コロナ禍で現地に行って手伝いができないことが本当に歯痒い。ルート66生誕100周年まであと5年。明るい光が差してくる未来を心から願いたい。
