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週刊NY生活月イチ連載 SEASON 4: Vol. 3 距離は最短でも見所満載のカンザス・ルート66

毎月恒例の日系情報誌「週刊NY生活」紙への寄稿、新たな企画「さあ行こう!魅惑の旧街道ルート66」SEASON ④、先月の教訓からイベントに絡めたものを紹介するのをやめよう!と誓った(笑)

で、気を取り直して選んだのがカンザス・ルート66。それはもう皆さんもよ~く知っている「たったの」13マイル(21キロ)しかないルート66。
週末旅行にはうってつけの題材だよね。
まさに見所満載の黄金郷。是非読んでみて!

記事全文は週刊NY生活ウェブサイト ⇩ まで (14ページです)
https://nyseikatsu.com/editions/811/811.pdf

RIP Forrest 😿

Forrest R. Nelson 氏 Facebook Old Riverton Store Account より

1月27日(水)カンザス州リバートンにある「Old Riverton Store」の、Forrest R. Nelson 氏が亡くなった。御年98歳だった。

私が初めてお店で店員さんときちんと会話をしたのが、2011年にフォレストの息子さん、スコットがお店を買った2011年から少し経ってからのことだ。ご高齢ではあったが、レジに姿勢よく立っていて客の皆に声をかけ、清算作業をこなしているその姿から、その人がオーナーのスコット・ネルソン氏だと思っていた。実際の会話の中でその人はオーナーでなく、お父さんのフォレストと知るまで少し時間がかかった。

私の祖父はまだ私が小学生の頃に病気で他界した。元軍人で非常に厳しい人だったらしが、殊の外私には優しく、大好きなお爺ちゃんだった。フォレストと会ってきちんと話をしたのはたったの2回だけど、彼にはそんな自分のお爺ちゃんに似た「暖かさ」があったことをはっきり憶えている。

最後に店を訪れた2018年には店番に出ていなかったので、また次回を楽しみにしていたのにとても残念だ。

スコットを始め、ネルソン家の皆さんに心より哀悼の意を表したい。
埋葬は、ガレナのヒルクレスト墓地だそうだ。次にカンザス州ルート66を訪れる際は必ずもう一回会いに行く予定だ。

安らかに、フォレスト。

Frecs ルート66 デビュー!

A 19-foot-tall sculpture named Frecs now overlooks old Route 66 in Galena. Pictured are (from left) former Galena Mayor Dale Oglesby; Renee Charles, President of the Kansas Historic Route 66 Association; and current Mayor Lance Nichols. by Joplin Globe | Kimberly Barker

“A new Muffler Man – a 19-foot-tall miner named Frecs – recently was erected on old Route 66 in Galena, Kansas”
というニュースが飛び込んできて早一年近くなろうとしている。

2,347マイル(約3,755キロ)に及ぶルート66の僅か 1%にも満たない、17マイル(約27キロ)しかないカンザス州ルート66に新しくマフラーマンが建てられる、と。
誤解のないように最初に明言するけど、カンザス州はそのルート66の中でも私は取り分け好きな州のうちの一つだ。
マフラーマンに関しても過去このブログや、月イチ連載している「週刊NY生活」のコラムにも何回か取り上げてきたので、今更説明は不要だろう。

日本に一時帰国して以来、アメリカには毎年春に諸用で帰るのだけど、2020年の春旅にはこのカンザス州ガレナの新マフラーマン、訪問予定に入れていたんだよねー(涙)

地元紙 Joplin Globe によれば、この 19フィート(約6m弱)の高さを誇るマフラーマンの名前は Frecs、街の歴史保存されている高架橋の近くに設置されているらしい。名前の由来は実在する人物、鉱山労働者の Milbern John Busick 氏より取られたもので、彼の赤毛とトレードマークである「そばかす(Freckles)」から Frecs となった模様。

このプロジェクトが始動したのは当時より約18か月前と書かれているので今から計算すればもう3年以上も経つことになる。Kansas Historic Route 66 Association を運営する Renee Charles さんの発案で、この地域で鉛と亜鉛の発掘を行い、街の発展に人生をかけた祖父、Busick 氏に敬意を表してこのマフラーマンを作ることを思いついたようだ。

この Frecs は、キャンバス、布シート、接着剤、塗料などの材料で構成された「貧乏人のグラスファイバー」と呼ばれるもので作られている。 それら消耗品と労働力の大半は寄付されたものらしく、溶接を担当した John Simon 氏やルート66の一組織である、Young Roadie Association のメンバーたちも一役買って出たそうで、文字通り街を挙げてのプロジェクトとなった。

Renee とは個人的に親交もあり、今月頭にも Kansas Route 66 をサポートする署名運動にも要請を受け、Route 66 Association of Japan としても微力ながら協力させて貰った。
次回私の大好きな Galena を訪れるのはいつになるのだろうか。
夢の中では一度見に行ったんだけどね。

Old Riverton Store, Kansas Route 66

ルート66の今、を知るに実に便利なウェブサイトがある。ルート66ファンなら誰もが知っているであろう Route66News.com だ。
https://www.route66news.com/
サイト運営者である Ron Warnick 氏には、私もその運営に携わっているルート66日本アソシエーションへも多大なサポートを頂戴している。
先週そんなサイトを通じて衝撃的なニュースが飛び込んできた。
何とカンザス州ルート66のアイコン、Old Riverton Store に現地12月16日午前10時ごろ、銃を持った男が強盗に押し入ったと言うではないか。
最初何を自分で読んだか理解できず、二度見してしまった。

結果から言えば事件発生から6時間後、犯人は郡保安官と州警察によって迅速に逮捕され、店の中の人たち、そして警察側にも何も被害もなく事件は終了したとのことだ。

カンザス州を通るルート66はたったの11マイル(約18キロ)だが、Galena、Riverton、そして Baxter Springs と個性的な素敵な街が3つも沿道に存在する。ルート66全8州でも私の好きな州の一つだ。そんなリバートンにこの Old Riverton Store が建ったのは何と1925年、まだルート66が正式に開通する前だ。お店は Leo Williams 氏によって始められ、その後1973年にJoe と Isabella の Eisler 夫妻が事業を買収した。(現在でも Eisler Brothers Co. という名前が残っている)
彼らの甥っ子である Scott Nelson 氏は、彼がまだ10代の頃からここでアルバイトをしていたそうだ。そして2011年になって Scott はこのお店を購入、現在もオーナーとして毎日お店で地元の人たちの良き友人であり続けている。

Scott Nelson

Scott と初めて話をしたのが2015年3月。ルート66では抜群に美味いローストビーフサンドウィッチを提供する店と聞いて訪れた。噂は全く持って正しく、注文後そこで作ってくれるシンプルだが暖かい味のするサンドウィッチは旅中の胃袋にはとても優しい。

現在 Old Riverton Store は食料品、農産物、花、デリ、肉やチーズ、そして生活必需品の販売に、ルート66のギフトショップとして記念品や地元の手工芸品も販売。隠れたギフトショップの名店でもあるのだ。

心優しい Scott は初めて会った時の写真を送ったら、お店の商品棚にこっそり飾っていてくれた。

事件翌日18日から私は何度か Scott に連絡を試みたが、お店の電話は繋がらず、一回繋がった時は従業員だろうか、「今日は Scott はもう帰ったわ」とのことだった。
やっと彼と話しが出来たのが、20日。彼の元気な声が聞こえた時思わず胸が熱くなった。事件の話を聞き心配して連絡を取り続けていたことを伝えると、いつもの明るい声で「トシ、ありがとう。大丈夫、元気だよ」と笑っている。聞くと40年ほど前にも同じような事件があったと言う。まだ子供だったらしいが、決して良い気分じゃないと。(それは当たり前だ)
「まあ、ここで(アメリカ)商売をしてりゃこういうこともある。前回は40年前だったから、次回はまた40年後、そん時は俺はいないから!」とジョークを飛ばしていた。

アメリカは銃社会だ。大人になって過去犯罪歴がなければ、街のスポーツ店で簡単に銃が手に入る。子供も訪れる量販店ウォルマートですら、銃のコーナーが平気でCDを売っている棚の横に並ぶ。
私も約30年に渡ってアメリカに住んだ。銃を持ったことは一度もないが、HOLD UPに遭遇したことはある。銃を廃止しろ!と訴える人々も多いが、銃の所持はアメリカ国家で認められた市民の権利の一つである。
問題は簡単に解決できない。

Old Riverton Store

週刊NY生活月イチ連載 SEASON 3: Vol.6 2020年のフィールド・オブ・ドリームス

毎月恒例の寄稿、SEASON 3!第6回目(9月号)のテーマは「アメリカン・パスタイム」の原点、ベースボールです。ケヴィン・コスナー氏の演じたアイオワ州、ルート66にしっかり今も存在するカンザス州、そして来年2020年にMLBが発表したマジな公式戦。ベースボール愛好家の夢は無限に広がります。

詳細は週刊NY生活ウェブサイト ⇩ まで
https://www.nyseikatsu.com/featured-article/09/2019/26734/

2020年のフィールド・オブ・ドリームス

1989年に見た映画「フィールド・オブ・ドリームス」、正直当時はあまり感動しなかったことを憶えている。むしろどちらかと言えば、ストーリー的にも、分かったような分からなかったような(笑)
何かいきなりケビン・コスナー氏をディするようなことになったけど、真意はそうじゃない。(むしろ彼は好きな役者の一人だ)
そんな映画のタイトルを何年も後になって、カンザス州バクスター・スプリングスを訪れたときに再び思い出した。同街にある「フィールド・オブ・ドリームス」と名付けられた施設を訪れたときのことだ。

いや、正確にはその施設の名前が書かれた看板の前を通りすぎたときだろうか。二度見をした私は思わず急停車。ギアをバックに入れてその標識をわざわざ確認しに行ったことを憶えている。

その「フィールド・オブ・ドリームス」をまた!鮮明に蘇らせてくれたのが昨月のアイオワ州デモインの地方紙「Des Moines Register」に掲載されたこの写真記事だ!

何とMLBは来年2020年、ニューヨーク・ヤンキースとシカゴ・ホワイトソックスの試合を同州ダイアーズビルで開催することを発表したのだ!
マジかっ?!と記事を目にしたとき疑ったのは言うまでもない。え?なぜ?
無数の疑問が頭の中を駆け巡る。
でもよく考えるとそんな無粋な質問はどうでもいいではないか。興行してくれるというのだから有難く楽しませて貰えればそれで良いのだ!

映画を観た方はよく憶えていると思うけど、この映画の撮影にあたって、ダイアーズビルは実際のベースボール場を建造したわけで。その後もその施設は土地の所有者によってしっかり保存され、今でも勿論使用できる立派な現役の施設さんなのだー!もはやベースボールファンにはたまらない「聖地」だね。(昨今この表現がメディアでも多い(汗)

MLBの公開したポスターによれば、試合予定日は2020年8月13日。しっかりホワイトソックスのスケジュールにも載っているぞ。

しかも当日は試合だけではなく、ベースボール・クリニックの開催を中心としたファンサービスも半端ないという。。。
あー観たいな~、行きたいな~、チケット取れるかな~
オールスター戦の1か月後かぁ。
日本はお盆かぁ。
また一つ悩みのタネが増えちゃったよ!

Baxter Springs の再開発

全長2,448マイル(約3,980キロ)に及ぶ道の長さの中で、僅か13マイル(約21キロ)しかないカンザス州ルート66。しかしながらその全体の0.01%にすら満たない13マイルの中には見どころも多く、私の大好きなパートでもあるのだ。
カンザス・ルート66を代表するものは何か?と聞かれればガレナにある Cars On the Route や、リヴァ―トンのグローサリーストアを想像することが多いと思うけど、今日は伏兵(と言ったら失礼千万w)?バクスター・スプリングスの街をご紹介したい。と言うのも、ここ数日、新しい「街復興」のニュースが飛び込んできたからだ。

バクスター・スプリングスはその街名の通りミネラルや亜鉛が出て、当時の原住民にとって夏のキャンプ場でもあったらしいのだが、それに目を付けた John J. Baxter 氏が160エーカーの土地で宿場と雑貨屋を1853年に始めたことから街の歴史は動いている。土地柄数々の紛争へ経て、1868年にバクスター・スプリングスという名前になり、当時需要の高かった牛肉の輸送鉄道の北部への中継地点として街は飛躍的な発展をした。しかし時代の流れと共に鉱業に頼っていた経済は衰退し、今ではメインストリートも少し寂しいものになってしまった。

そんな中聞こえてきたのが、街近辺、オクラホマ州マイアマ―に拠点を置く非営利法人「Decades of Wheels」の代表、David Hickmott 氏の発案、街のメイン通り、ミリタリーアベニュー(ルート66)の1100ブロックの西側で大規模な街の再開発の計画だ。そこでは車博物館、ゴーカート・トラック、地ビール工場、そしてレストランやバーを展開するという。博物館「Decades of Wheels」では常時30台程度の映画に出てくる著名車を中心に展示、さらにそれらを定期的に入れ替えをすることでリピーターを作ることも忘れていない。エリアはいつもライブミュージックやレストラン、子供向けのアトラクションも設け、カンザス・ルート66が多くの観光客を集められるよう「家族で過ごせる場所」の提供に尽力するそうだ。

開店は今年の10月13日(土)、秋のルート66旅はカンザス州を目指したいね!
公式ページはこちら ⇩
https://www.decadesofwheels.com/

バクスター・スプリングスのメイン通りいには現在は閉鎖されているカフェ、著名なレストラン「Angels on the Route」を始め、薬局、質屋、そしてお土産屋さんが細々と営業しているのみ。ただ、最近再開店したリッツ劇場のオーナーさんはこの再開発にただ一人反対中と聞く。素晴らしい計画だけに一日も早く和解して、皆で同じ方向に向いて発展して行って欲しいね!

 

 

週刊NY生活⑫

毎月恒例の寄稿。2016年もこれにて仕事納め?(笑)
今月はミズーリ州、そしてカンザス州を一気に駆け抜けました!

http://www.nyseikatsu.com/editions/612/html5/index.html

Route 66 Corridor Preservation Program その③<最終回>

nps66
過去二回に渡ってお伝えしてきました、アメリカ合衆国国立公園局主導の助成金プロジェクト。今回で最終回です。残りの三つのご紹介をしたいと思います。

Nelson’s Old Riverton Store floor restoration project
Location: Riverton, Kansas
Recipient: Private Owner
NPS grant: $6,356; cost-share match: $6,356

nelsons
ウィリアムズ一家の経営するその店は1925年3月に建てられ、ガソリンから通常の食材、日用品まで販売する「General Store」でした。靴、衣料、フードスタンプ、アイスクリーム、牛乳、卵、パン、缶詰、肉や魚、新鮮野菜、本当に何でもありました。当時の店の名前は「Y Not Eat/Williams Bar-B-Q and General Merchandise」と言ったそうです。翌年になるとルート66を行く旅行者が増え、冷えたスイカやお店の看板メニューであるBBQサンドイッチ、それに魔法瓶にコーヒーを買って行く客が目立つようになりました。店の前から赤と緑色のネオンチューブがぐるっとお店を廻っていて、特に寒い冬の夜、街灯もままならなかった時代にはどこからでも見える「安息所」のような役割も果たしました。現在、カンザス州ルート66において「Nelson’s Old Riverton Store」と言って知らない者はいません。でもこのお店が国家歴史登録財に選定された時は誰もその名前を知りませんでした。2005年、国立公園局は屋根と電気系統系の修理のために助成金を設定しました。今回の助成金はかなり酷く傷んでいる床の修復に充てられるそうです。
現在のオーナーさんは私の友人でもある、Scott Nelson 氏。彼との話、そして名物BBQサンドイッチの話はまた別の機会にゆっくりと。

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Donut Drive-In exterior sign restoration project
Location: St. Louis, Missouri
Recipient: Private Owner
NPS grant: $6,300; cost-share match: $6,300

donutsdrivein
Donuts Drive-In は1952年、セントルイスの Chippewa 通りとWatson 通りの交差点に経ち「The Wedge」の愛称で知られていましたが、ドーナツ店がルート66に増え始めたことがきっかけとなり、Donuts Drive-In は自動車産業の興隆に投資を開始します。店の名前からは当時流行りのレストラン、シアター、そして銀行が一体になった商業施設を彷彿させましたが、実際はそんな風に造られておらず、ドライブスルーすら無かったそうです。ドーナツ一本で勝負したんですね。国家歴史登録財に認定を受けるにあたってシンプルなコンクリートで出来ただけの建物は逆に脚光を浴び、2008年にはネオンサインの修復に成功しました。店はそのほか3か所、蛍光灯によるライトアップがありますが、いずれも壊れたまま。今回の助成金はその部分に充てられるそうです。

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Western Host Motel door rehabilitation project
Location: Grants, New Mexico
Recipient: Private Owner
NPS grant: $12,500; cost-share match: $12,500

westernhotel
Western Host Motel は、1950年代後半に建てられ、素晴らしいモーターインの例の一つと言われています。モーターインは自動車で旅行する人が増大したことで一躍その必要性が高まりました。新しいタイプのモーターインは、それ以前のタイプ(モーターコート)より大きく、贅沢な作りで、2階3階となって駐車場や中庭を備えたものでした。イン内のコーヒーショップはレストランやカクテル・ラウンジになり、チェックインカウンターはロビー化され、ギフトショップも併設されます。客室においては、”The Motel in America”の記録によれば、部屋の大きさは勿論のこと、エアコンやTVセットまで完備されるようになりました。
Western Host Motelは全部で50部屋あり、各部屋に窓、バスルームやきれいな家具までありました。お客にとっては天国のような状況になる中、経営者は常にそのレベルを保たないといけなくなります。国立公園局は50部屋全部のドアの修繕に助成金を設定しました。次の課題は昔の装飾を保つための大改造とのことです。

さて来年2017年はどこがこの助成金を獲得できるのでしょうか?

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