ルート66の今、を知るに実に便利なウェブサイトがある。ルート66ファンなら誰もが知っているであろう Route66News.com だ。
https://www.route66news.com/
サイト運営者である Ron Warnick 氏には、私もその運営に携わっているルート66日本アソシエーションへも多大なサポートを頂戴している。
先週そんなサイトを通じて衝撃的なニュースが飛び込んできた。
何とカンザス州ルート66のアイコン、Old Riverton Store に現地12月16日午前10時ごろ、銃を持った男が強盗に押し入ったと言うではないか。
最初何を自分で読んだか理解できず、二度見してしまった。

結果から言えば事件発生から6時間後、犯人は郡保安官と州警察によって迅速に逮捕され、店の中の人たち、そして警察側にも何も被害もなく事件は終了したとのことだ。

カンザス州を通るルート66はたったの11マイル(約18キロ)だが、Galena、Riverton、そして Baxter Springs と個性的な素敵な街が3つも沿道に存在する。ルート66全8州でも私の好きな州の一つだ。そんなリバートンにこの Old Riverton Store が建ったのは何と1925年、まだルート66が正式に開通する前だ。お店は Leo Williams 氏によって始められ、その後1973年にJoe と Isabella の Eisler 夫妻が事業を買収した。(現在でも Eisler Brothers Co. という名前が残っている)
彼らの甥っ子である Scott Nelson 氏は、彼がまだ10代の頃からここでアルバイトをしていたそうだ。そして2011年になって Scott はこのお店を購入、現在もオーナーとして毎日お店で地元の人たちの良き友人であり続けている。

Scott Nelson

Scott と初めて話をしたのが2015年3月。ルート66では抜群に美味いローストビーフサンドウィッチを提供する店と聞いて訪れた。噂は全く持って正しく、注文後そこで作ってくれるシンプルだが暖かい味のするサンドウィッチは旅中の胃袋にはとても優しい。

現在 Old Riverton Store は食料品、農産物、花、デリ、肉やチーズ、そして生活必需品の販売に、ルート66のギフトショップとして記念品や地元の手工芸品も販売。隠れたギフトショップの名店でもあるのだ。

心優しい Scott は初めて会った時の写真を送ったら、お店の商品棚にこっそり飾っていてくれた。

事件翌日18日から私は何度か Scott に連絡を試みたが、お店の電話は繋がらず、一回繋がった時は従業員だろうか、「今日は Scott はもう帰ったわ」とのことだった。
やっと彼と話しが出来たのが、20日。彼の元気な声が聞こえた時思わず胸が熱くなった。事件の話を聞き心配して連絡を取り続けていたことを伝えると、いつもの明るい声で「トシ、ありがとう。大丈夫、元気だよ」と笑っている。聞くと40年ほど前にも同じような事件があったと言う。まだ子供だったらしいが、決して良い気分じゃないと。(それは当たり前だ)
「まあ、ここで(アメリカ)商売をしてりゃこういうこともある。前回は40年前だったから、次回はまた40年後、そん時は俺はいないから!」とジョークを飛ばしていた。

アメリカは銃社会だ。大人になって過去犯罪歴がなければ、街のスポーツ店で簡単に銃が手に入る。子供も訪れる量販店ウォルマートですら、銃のコーナーが平気でCDを売っている棚の横に並ぶ。
私も約30年に渡ってアメリカに住んだ。銃を持ったことは一度もないが、HOLD UPに遭遇したことはある。銃を廃止しろ!と訴える人々も多いが、銃の所持はアメリカ国家で認められた市民の権利の一つである。
問題は簡単に解決できない。

Old Riverton Store