先日私も運営に携わっている、とあるルート66関連のホームページでも少し触れたんだけど、ここでは更に詳しく、ルート66に関連する建築物や店舗が享受しているアメリカ国立公園局主導の助成金プログラムについて紹介します。ルート66とアメリカ合衆国国立公園局、実は密接な関係にあって、8州に渡って数多くの街、ガスステーション、映画館、劇場、モーテル、そしてレストラン等が国家歴史登録財の認定を受けています。その公園局がアメリカン・エクスプレス社や世界記念建造物保護財団などと組んで行っているのが「The Route 66 Corridor Preservation Program」という助成金プログラム。歴史の保存にかけては超敏感ないかにもアメリカらしい活動ですよね。
今年2016年は合計8件の(コストシェアを含む)助成金 USD103,000 (約1000万円)の支給が決定。同プログラムは2001年に開始され、支給は今日までに122件ものプロジェクト数におよび、USD1.9 Million と、コストシェア USD3.1 Million、合計USD5 Million(約5億1千万円)がルート66の保全に使用されています。
ではここからは、今年このプロジェクトの支援を受けた案件を何回かに分けて紹介します。
Historic Navajo County Courthouse Roof Preservation Plan
Location: Holbrook, Arizona
Recipient: Navajo County
NPS Grant: $7,000; cost-share match: $7,000
ナバホ郡群立裁判所は1898年、アリゾナが未だアメリカ合衆国の領土だった頃に建てられ、アリゾナ州に存在する二つのリチャード二アン・ロマネスク様式による裁判所の一つです。裁判所は永きに渡ってルート66上のランドマークでしたが、今日それはホルブルック地域の文化と生活を伝えるアリゾナ州インフォーメーションセンターとナバホ郡歴史社会博物館として親しまれています。毎年夏に行われるネイティブ・アメリカンのダンスイベント等でご存じの方もいるでしょうか。
裁判所は1978年に国家歴史登録財に認定されましたが、2012年に「Historic Structures Report」の発表によって建物の著しい劣化が指摘されました。その中でも特に酷い状態にある屋根部分を今回NPSは助成金を出すことによって修理、修復の計画を立てるとのことです。
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Rialto Square Theatre Marquee Restoration Project
Location: Joliet, Illinois
Applicant: Rialto Square Theatre Foundation
NPS Grant: $27,855; cost-share match: $27,855
リアルト・スクエア劇場は、1926年11月の国家高速道路条例が出される数か月前に、ルート66を世に知らしめる手段の一つとして建てられました。当時のアメリカは、装飾に溢れた劇場と「音声のある」映画を国民に提供すること、そして流行の最先端であった自動車(旅行)を実現させる高速道路、の二つが国が発展して行くための重要な要因でした。出費を全く惜しまず造られた「ジョリエットの宝石」と呼ばれるに相応しく、その建築スタイルはギリシア建築、新ローマン・ロココ建築、そしてイタリアン・ルネサンスのエッセンスを多岐に渡る要素を含んだものになっていました。
しかし1970年代に入るとルート66もこの劇場も荒廃の一途を辿ります。1978年にはこの場所を駐車上に変えようとする動きまで出てきました。そこで Will County Cultural Arts Association が立ちあがり劇場を守ったことで、その後国家歴史登録財となり1980年代には再開業できるまでの状態に戻りました。
今日劇場はマチネでの上映とコミュニティセンターとして活躍していて、年間10万人以上の訪問者数があるとのことです。今回の助成金は劇場マーキーを1926年時の外観に戻すことに使用されます。
(続く)
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