nps66
先日このブログでお話した、アメリカ国立公園局主導の助成金プロジェクト。支援を受けている案件のご紹介、第二弾です。

The Mill on Route 66 accessibility project
Location: Lincoln, Illinois
Recipient: Route 66 Heritage Foundation of Logan County
NPS grant: $10,720; cost-share match: $12,000

themill
The Mill レストランはアメリカの早期によく沿道上で見られた建築物の最も優良な事例の一つで、その時代から現在に至るまで残っているものの数少ないものでもあります。レストランは1929年、The Blue Mill という名前でルート66に開店し、オランダの小風車をモチーフに帆船を店の前に構えた大胆なものでした。1945年になるとキャンプ・エリス用の兵宿舎が横に建てられ、兵士に食事、お酒、そしてダンスホールを提供する場となります。建てられた頃は「Blue」という名の通り建物は青色でしたが、この頃を境に赤く塗りかえられ The Mill と呼ばれるようになりました。レストランでは様々な変わったものが置かれ、来るお客を楽しませていましたが、一番の目当ては何と言っても名物料理 Fried Schnitzel だったと聞きます。The Mill は1996年に閉店、その後しばらくそのまま放置され、各所に腐敗が広がっていましたが、10年後の2006年、ローガン郡は同郡の他のルート66関連物と連携してこの Mill を守るべく Route 66 Heritage Foundation を立ち上げ、リンカーン市と共に活動を開始しました。アメリカ国立公園局は2008年に外観補修の助成金を貸与。現在の助成金は入り口、ボールルームへのアクセス道を確保する補修用にお金が捻出されています。

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Dell Rhea’s Chicken Basket neon sign restoration project
Location: Hinsdale, Illinois
Recipient: Private Owner
NPS grant: $17,300; cost-share match: $17,300

chickenbasket
「チキンバスケット」は、1930年代、簡易ランチ店舗としてスタートし、イリノイ州ヒンスデールにて現在でも営業を続けています。色々な材料を上手く組み合わせて作るこの手の手法は当時のルート66上ではとても典型的なものですが、薄利多売が基本のためいつも新しいアイデアが必要でした。そんな時に現れたのが、街に住むごく普通の二人の女性の閃きです。彼女らは当時のオーナーである Irv Kolarik 氏に彼女ら自身のフライドチキンのレシピを披露、その味が瞬時に気に入った Kolarik 氏は原材料となるチキンを彼女から購入することを確約しました。そうして「チキンバスケット」の輝かしい歴史は始まったのです。
今日のレストランは1946年に建てられたもので、オリジナルの建物はすぐ横にありました。1階建てのレンガ造りの建物は極めて実用的に設計されており、功利的商業主義にマッチした戦後のスタイルです。もちろん国家歴史登録財にも含まれています。
そんなレストランですが、多分に漏れず1962年になるとインターステートが出来たお蔭で経営難に陥ります。が、翌年シカゴ出身の敏腕ビジネスマン、Delbert ”Dell” Rhea 氏が店を買い取り、シカゴを中心にシカゴやその郊外の住民、果てはルート66の旅行者に向け嵐のように広告をうち、店の経営を一変させました。
今回の助成金はネオンサインの復興に向けて使用されるとのことです。

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Sprague’s Super Service rehabilitation project
Location: Normal, Illinois
Recipient: Private Owner
NPS grant: $15,699; cost-share match: $15,699

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William W. Sprague 氏の発案である「Sprague’s Super Service」は、チューダー様式の復古スタイルである二階立て構造になっており、カフェ、ガスステーション、そしてサービスステーションを同設したものとして、大恐慌時代が始まる頃に建てられました。
2003年、現オーナーは手始めに国家歴史登録財に選定される保全活動から始め、ルート66回廊保全プログラムから助成金が受けられるよう尽力してきました。そして助成金を受け取る計画が出来て後、ノーマル市に屋根部分、そしてヒーティングシステムの修理のために更なる補助金を要請しました。
このような計画性に満ちた手順を踏んだため、イリノイ州観光局からも基金を集めることが出来、2011年ステーションはノーマル市のランドマークとなり、今年2016年には今後の保存を確約するため、市の所有とする投票まで行われました。
現在この場所は Ryburn Place と呼ばれ、市としての最終目的はこの地にルート66観光センターを開設することです。今回の助成金は、スタッコと石造りの外壁の修理とその安定化、そして窓の最終部分の修繕に利用されるようです。

(続く)