Laurel

2016年1月28日、ルート66はまた一つ、大切な存在を失いました。オクラホマ州アフトンにあるパッカード・ミュージアムで多くの訪問者を温かく迎えてくれた、優しくもエネルギッシュなローレル・ケインさんが永遠の眠りについたのです。彼女の最後の瞬間は、元夫のデイビッドさん、娘さん、そして長年の友人ロイ・マッコイさんに見守られながら、静かに訪れました。

コネチカット州出身のデイビッドさんとローレルさんは、1930年代に建てられたDXガソリンスタンドを購入し、1998年から2年かけて情熱を注いで修復しました。そして2002年にオクラホマへ移り住んでから、ローレルさんは笑顔で訪問者を迎え続けました。記録によると、彼女は生涯で18か国以上から訪れた7000人もの人々をもてなしたと言います。

私が彼女に会ったのは、実はたった一度、しかもたったの2時間程度でした。それは真夏の8月、暑い土曜の午後。友人のロンに「早く行かないとm店閉めちゃうぞ」と急かされ、なぜだか無性に急いで車を走らせたのを覚えています。

普段、私は「虫の知らせ」なんてデリケートな感覚は持ち合わせていません。それまで3回ほどミュージアムを訪れても、タイミングが悪くて彼女に会えなかったのですが、その日だけは「今日は絶対に会いたい」と強く感じたんです。

「一期一会」という言葉が、これほど鮮明に胸に響いたことはありません。あの夏の日、たった数時間でしたが、彼女と笑い合いながらたくさんの話が出来て本当に良かった。日本でルート66のアソシエーションを立ち上げたことを、彼女は心から喜んでくれました。

ローレルさんの笑顔、ホスピタリティ、そしてルート66への情熱は、これからもこの道を愛する多くの旅人の心に生き続けるでしょう。ローレル、本当にありがとう。そして、どうか安らかに。